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大阪府泉佐野市インタビュー:ふるさと納税で進める地域活性化と新たな挑戦 Vol.2
ふるさと納税で高い人気を集める大阪府泉佐野市では、「#ふるさと納税3.0」と題し、ふるさと納税型クラウドファンディングを実施しています。
大阪府泉佐野市インタビュー:ふるさと納税で進める地域活性化と新たな挑戦 Vol.1に続く今回の記事では、多くの事業者や他の自治体から注目されるこの取り組みと、「#ふるさと納税3.0」を通じた新たな挑戦について、大阪府泉佐野市のふるさと納税担当者にインタビューした内容をお伝えします。
<インタビュー>
泉佐野市 成長戦略室 ふるさと納税担当理事
塩見 健 様
― 泉佐野市の「#ふるさと納税3.0」とは、どういう取り組みなのでしょうか。
「#ふるさと納税3.0」は、ふるさと納税型クラウドファンディングです。
皆さんが「#ふるさと納税3.0」の対象返礼品を選んで寄附をすると、その金額の一部がクラウドファンディングのプロジェクトに活用されるというもので、寄附金額が目標額に到達したらそのプロジェクトが開始されます。
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― 「#ふるさと納税3.0」を始めたのにはどのような背景があったのでしょうか。
泉佐野市には、地場産品がそれほど多くないという問題がありました。
たとえば北海道ならホタテやイクラ、九州なら畜産品といったように、もともと強みとなる産品を多く持つ自治体もありますが、泉佐野市にはそれがなかったんです。しかし、ふるさと納税では地場産品しか提供してはいけないというルールになったことから、「制度がそうなったなら、地場産品を作るしかない」という考えで、新しい地場産品の開発に挑戦することにしました。
そこで始めたのが、「#ふるさと納税3.0」のクラウドファンディングです。
― 具体的には、どのような仕組みになっているのでしょうか。
外部の事業者さんに泉佐野市内で設備投資をしていただき、その設備投資の資金を募るためにクラウドファンディングを行います。そして、その設備で泉佐野市内で製造された商品を返礼品として提供するというものです。
― 市内に新たな産業が誕生することで地域が活性化し、それに伴って雇用も創出。そしてふるさと納税の寄附にもつながるという、素晴らしい取り組みですね。
そうですね。そしてこの取り組みでは、新しい産業が生まれただけでなく、既存の地場産業の活性化や需要の創出にもつながっているんです。
たとえば、ある泉州タオルの事業者さんや玉ねぎ農家さんは、「#ふるさと納税3.0」を活用して規模拡大に成功しました。「#ふるさと納税3.0」がきっかけで新たな需要が生まれたり、既存の事業がこれまでとは違う形で展開されたりしています。
― ヤッホーブルーイング大阪ブルワリーも「#ふるさと納税3.0」のプロジェクトですよね。
そうです。ヤッホーブルーイング大阪ブルワリーというのは、関西空港の向かいにあるりんくうタウンに建設を予定しているヤッホーブルーイングさんの醸造所で、ビール醸造の現場を見学し、飲んで楽しむことができる施設です。
これも「#ふるさと納税3.0」を活用したプロジェクトで、ヤッホーブルーイングさんが泉佐野市で提供しているクラフトビール「よなよなエール」「正気のサタン」「裏通りのドンダバダ」に寄附申し込みをしていただくと、寄附金の一部がブルワリーの建設に活用される仕組みになっています。新たな観光地として注目される、とても楽しみな施設です。
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ヤッホーブルーイングさんとは、もともと2017年頃から泉佐野市のふるさと納税の返礼品としてクラフトビールを供給していただいていたご縁があります。クラフトビールは、大手メーカーさんのビールと比べるとそもそものシェアが1%と非常に小さいにもかかわらず、「よなよなエール」はふるさと納税では非常に人気が高く、多くの方に支持されてきました。
― そうした人気が誘致のきっかけになったのですか。
そうですね。ヤッホーブルーイングさんは、とにかく楽しいことをする会社という印象があったので、ふるさと納税のご縁もあり、声をかけさせていただきました。このプロジェクトによってブルワリーが完成して、クラフトビールの製造が泉佐野の新しい地場産業として根付くことを期待しています。
― 自治体にとっても事業者にとっても意義のある取り組みですね。
はい。最近は認知が広がってきて、「#ふるさと納税3.0」をやりたいという問い合わせが増えました。また、他の自治体からも問い合わせがあり、これまでに約60自治体から視察を受け入れました。こうした取り組みでそれぞれの自治体が活性化するのはとても良いことですし、ふるさと納税の主旨にも合致していると思っています。
私たちは、これからもどんどん新しいことに挑戦していきたいですね。