12.02
ふるさと納税の控除は年末調整で申請できる?仕組みと手続き方法を徹底解説
ふるさと納税は、寄附をすることで税金の控除を受けられる、魅力的な制度です。利用者が年々増えているため、皆さんの中にも、今年初めて寄附をした方も多いのではないでしょうか。もしかしたら、年末を迎え、控除を受けるためには年末調整で申請すべきなのか、会社に届出が必要なのかと迷っている方もいるかもしれません。
この記事では、年末調整とふるさと納税の関係をわかりやすく解説し、申請方法や年末に確認すべきポイントについて詳しく紹介します。今年初めて寄附をした方や、これからふるさと納税を始めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
ふるさと納税の控除は年末調整で申請できる?

ふるさと納税の申請は、年末調整では行えません。その理由を解説する前に、まずは年末調整とはどういうものなのかを確認しておきましょう。
ふるさと納税の控除は、年末調整では申請できません。
これは、年末調整の対象となるのは、扶養控除や生命保険料控除など一部の所得控除だけで、寄附金控除(ふるさと納税)は対象外だからです。
ふるさと納税の控除を受けるには、確定申告か、ワンストップ特例制度を利用して申請する必要があります。
そもそも年末調整とは
年末調整とは、その年に給与から天引きされた所得税を、正しい税額へと精算する手続きです。給与から引かれている所得税は概算のため、年末に年間の収入や控除の内容をそろえて計算し直します。
ただし、控除の種類によって、年末調整で反映されるものと反映されないものがあり、人によっては年末調整後に確定申告が必要になる場合もあります。ここからは、次の2つの視点から年末調整について解説します。
- 年末調整の対象になるもの・ならないもの
- 年末調整の対象になる人・ならない人
年末調整の対象になるもの・ならないもの

皆さんが納めている所得税には、さまざまな控除が反映されています。それらの控除の中には、年末調整で反映されるものと、されないものがあります。
ここで、どの控除が年末調整に反映されるのかを整理しておきましょう。
<年末調整で反映される控除の例>
- 扶養控除
- 配偶者控除・配偶者特別控除
- 基礎控除
- 社会保険料控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)(適用2年目以降)
たとえば、家族を扶養している場合は扶養控除、生命保険に加入している場合は生命保険料控除の対象となるため、年末調整時に書類に記入して申請します。
<年末調整で反映されない控除の例>
- 寄附金控除(ふるさと納税)
- 医療費控除
- 雑損控除
- 住宅ローン控除の初年度
年末調整で反映されない控除については、原則として確定申告をする必要があります。
ふるさと納税は寄附金控除に該当するため、確定申告が必要な控除です。ただし、ふるさと納税には「ワンストップ特例」という特別な制度が設けられているため、確定申告をしなくて済む場合も多いです。
ふるさと納税の申請(確定申告・ワンストップ特例制度)については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
年末調整の対象になる人・ならない人

皆さんの中には、年末調整を毎年している人もいれば、していない人もいるでしょう。また、年末調整をしていても、さらに確定申告が必要な人もいます。
ここでは、年末調整の対象になる人・ならない人とはどういう人なのかを整理して紹介します。
年末調整の対象になる人
年末調整の対象になるのは、年末の時点で会社に在籍し、その会社に年末調整の書類を提出している人です。ただし、年末調整を行っていても、条件によっては別途確定申告が必要になる場合があります。
<年末調整の対象になる人>
- 年末の時点で会社に在籍している給与所得者(勤務先で源泉徴収が行われている人)
<年末調整の対象だが、確定申告も行う人>
- 2社以上から給与を受け取っていて、2社目以降からの給与が20万円を超えている人
- 給与以外の所得が20万円を超えている人
- ふるさと納税や医療費控除など、年末調整の対象外の控除がある人
なお、年の途中で転職した場合は、転職前の会社から源泉徴収票を受け取って現在の勤務先に提出すれば、現在の勤務先が年末調整を行います。
年末調整の対象にならない人
年末調整は、年末に在籍している会社で手続きするものなので、そもそも対象にならない人も大勢います。以下に当てはまる場合は年末調整がないため、確定申告が必要です。
- 給与所得者以外の人(自営業やフリーランスなど)
- 年の途中で退職し、その後に再就職していない人
- 複数の勤務先から給与を受け取っているものの、どの勤務先でも年末調整の対象とならない人
これらの条件に当てはまる場合は年末調整がないため、自分で確定申告を行う必要があります。
ふるさと納税をするなら年末調整は不要?
ふるさと納税をして確定申告が必要な人は、「確定申告をするなら年末調整は不要なのでは?」と感じることもあるかもしれません。
しかし、ふるさと納税の有無にかかわらず、年末に会社に在籍している場合は年末調整が行われます。その理由は、会社側に年末調整の義務があるためです。
また、e-Taxで確定申告をする場合、年末調整を行っていて源泉徴収票があれば、入力がとても楽になります。今は、源泉徴収票の写真をアップロードすれば給与などのデータが反映されるため、手間が大幅に省けます。源泉徴収票がなくても申告は可能ですが、あると格段に楽になるので、受け取ったら大切に保管しておきましょう。
ケース別:年末調整とふるさと納税の手続き
年末調整の有無や、ふるさと納税の申請方法は、その年の働き方によって変わります。ここでは、3つのケースに分けて、年末調整とふるさと納税の手続きがどう変わるのかを整理します。
- ケース1 年の途中で転職した場合
- ケース2 年の途中で退職して再就職しなかった場合
- ケース3 年の途中で無職から就職した場合
年の途中で転職した場合

年の途中で転職した場合、年末調整とふるさと納税の手続きは、次のようになります。
年末調整
前職の会社から源泉徴収票を受け取り、現在の会社に提出した場合は、現在の会社で2社分をまとめて年末調整を行います。この場合、前職で納めすぎた税金も年末調整で還付されます。
前職の会社の源泉徴収票を現在の会社に提出できなかった場合は、現職分のみ年末調整が行われ、前職分は年末調整に含まれません。この場合、前職で税金を納めすぎていても還付されないため、還付を希望する場合は確定申告が必要です。
ふるさと納税
前職の源泉徴収票を現在の会社に提出している場合は、確定申告の必要はないためワンストップ特例制度を利用できます。(ただし、医療費控除など別の控除が該当する場合は確定申告を行います)
前職の源泉徴収票を提出しておらず、還付を希望する場合は、確定申告を行います。その場合は、ふるさと納税の寄附金控除も確定申告で申請します。還付を希望せず、確定申告を行わない場合は、要件を満たしていればワンストップ特例制度を利用できます。
年の途中で退職して再就職しなかった場合

年の途中で退職し、その後に再就職していない場合、年末調整とふるさと納税の手続きは、次のようになります。
年末調整
年末時点で会社に在籍していないと、年末調整が行われません。前職で税金を納めすぎている場合は、確定申告を行えば還付されます。なお、還付を希望しない場合は、確定申告を行わなくても構いません。
ふるさと納税
上述の通り、納めすぎた税金の還付を希望する場合は確定申告が必要なため、ふるさと納税の寄附金控除の申請も確定申告で行います。
一方、還付を希望せず、確定申告を行わない場合は、要件を満たしていればワンストップ特例制度を利用できます。
年の途中で無職から就職した場合

年の途中で無職の期間を経て就職した場合、年末調整とふるさと納税の手続きは、次のようになります。
年末調整
年の途中で就職した場合は、勤務先で年末調整が行われます。この場合は、通常の給与所得者(会社員)と同じように手続きされます。
ふるさと納税
ふるさと納税についても、通常の給与所得者(会社員)と同様の手続きになります。
医療費控除等の理由によって確定申告をする場合は、ふるさと納税の寄附金控除も確定申告で申請します。確定申告不要の場合は、条件を満たしていればワンストップ特例制度を利用できます。
なお、年の途中で転職・退職している場合は、控除上限額が当初の予定と異なっている可能性があるので、寄附をする前にシミュレーターで確認しておきましょう。
年末に最終確認!ふるさと納税のチェックポイント
ふるさと納税は、毎年1月1日から12月31日までの期間で行われます。年末には、寄附の忘れがないか、申請漏れがないかなどについて、再度確認しておきましょう。
寄附上限額を再確認する
寄附上限額は、1年間の所得に基づいて算出されます。そのため、年末に所得が確定した段階で、上限額を再確認しましょう。まだ余裕がある場合は、年末までに追加で寄附を検討するのもおすすめです。
ワンストップ特例の申請をする
ワンストップ特例の申請期限は、翌年の1月10日です。年明けでも間に合いますが、万が一不備などがあった場合でも間に合うように、早めに申請しておくと安心です。
年末におすすめの寄附のしかた
年末に寄附上限額までまだ余裕がある場合は、ぜひ追加の寄附を検討しましょう。ここでは、年末におすすめの寄附のしかたを紹介します。
応援したい自治体に寄附をする

▶︎ プロジェクト例:大阪府泉佐野市ふるさと納税サイト「さのちょく」
年末には、その年に印象に残った出来事や応援したい分野を思い返しながら、応援したいプロジェクトや取り組みを探して寄附をするのもおすすめです。子育てや人材育成、災害復興などを目的として、各自治体がさまざまな取り組みを企画しています。
自治体のふるさと納税サイトや、楽天ふるさと納税などのポータルサイトで特集が組まれていることもあるので、ぜひチェックしてみてください。
定期便の返礼品を選ぶ

▶︎ 定期便の例:大阪府泉佐野市ふるさと納税サイト「さのちょく」
ふるさと納税の返礼品には、月に1回や2ヶ月に1回などのペースで定期的に届く「定期便」と呼ばれるものがあります。先に申し込んでおくと、お肉や野菜、日用品などが後から定期的に届くため、年末に寄附上限額まで余裕がある場合におすすめです。
必要な量やタイミングを考えて、適切な定期便を選びましょう。
年末年始を楽しめるものを選ぶ

▶︎ おせちの例:大阪府泉佐野市ふるさと納税サイト「さのちょく」
ふるさと納税では、おせちや鍋の材料、お酒など、年末の親戚の集まりや新年のお祝いに活用できる返礼品が豊富に提供されています。そこで、早めに年末年始の予定を立てて、必要なものをふるさと納税で選ぶのも一つの方法です。
ただし、年末に寄附をした場合は配送が年明けになってしまう場合もあるため、配送時期を確認し、使いたい日に間に合う返礼品を選びましょう。
ポイント制度を利用する

▶︎ ポイント制度の例:大阪府泉佐野市ふるさと納税サイト「さのちょく」
ふるさと納税で、自治体独自のポイント制度やカタログギフトを活用するのもおすすめです。
たとえば、泉佐野市の「さのちょくポイント」は、寄附をしてポイントを取得し、後日欲しい返礼品が見つかったときにそのポイントで交換できる仕組みです。
年末に寄附をしたいけれど、欲しいものが見つからないという場合、このような制度を利用するのも良いのではないでしょうか。
ふるさと納税の申請に関するQ&A
ふるさと納税の申請に関して、よくある質問とその回答を紹介します。
Q:ふるさと納税をした場合、会社に届出は必要ですか。
ふるさと納税を行っても、会社に届出をする必要はありません。寄附金控除の手続きは、年末調整ではなく、ワンストップ特例制度または確定申告を通じて自分で行うためです。
会社への影響はありませんので、安心してこの制度をご利用ください。
Q:ふるさと納税の申請方法を教えてください。
ふるさと納税の申請は、以下のいずれかの方法で行えます。
- ワンストップ特例制度
- 確定申告
それぞれの申請方法については、こちらのページで紹介しています。適用条件などを確認のうえ、期限までに手続きを済ませましょう。
※今後、手続きについての記事を制作したらそちらに誘導します。
Q:ふるさと納税の申請をすれば、税金が戻ってきますか。
ふるさと納税による寄附金控除では、翌年の住民税から控除される場合と、一部がその年の所得税から還付される場合があります。
翌年の住民税から控除される場合は、6月から1年間、住民税が安くなります。所得税から還付される場合は、申請時に指定した銀行口座に振り込まれます。
まとめ
この記事では、年末調整でふるさと納税の申請ができるかどうかについて紹介しました。
- ふるさと納税の控除は年末調整で申請できる?
- そもそも年末調整とは
- ケース別:年末調整とふるさと納税の手続き
- 年末に最終確認!ふるさと納税のチェックポイント
- ふるさと納税の申請に関するQ&A
ふるさと納税の申請は、年末調整ではなく、ワンストップ特例制度または確定申告で行います。会社に影響することはありませんので、今年初めて寄附をした方も、まだ一度もふるさと納税をしたことがない方も、安心してご利用ください。
なお、ワンストップ特例制度を利用する場合の申請期限は翌年1月10日(必着)、確定申告の場合は2月16日から3月15日までです。必ず期限内に手続きを済ませましょう。

