2025
01.16
ふるさと納税 泉佐野市インタビュー

大阪府泉佐野市インタビュー:ふるさと納税で進める地域活性化と新たな挑戦 Vol.1

ガイド

大阪府泉佐野市は、「ふるさと納税のまち」として広く知られる自治体です。

看板返礼品である泉州タオルや泉州元気ハラミは、ふるさと納税ポータルサイトの人気ランキングでも常に上位を獲得。現在は、クラフトビールで知られるヤッホーブルーイングとの共同事業として、ふるさと納税型クラウドファンディングを活用した体験型のビール醸造所「ヤッホーブルーイング大阪ブルワリー」の開設にも挑戦中です。

今回は、泉佐野市のふるさと納税担当者に、寄附金の活用事例や地域の取り組み、新たな挑戦についてインタビューしました。

<インタビュー>
泉佐野市 成長戦略室 ふるさと納税担当理事
塩見 健 様

― まず、泉佐野市についての紹介をお願いいたします。

泉佐野市は、大阪府の泉州地方に位置する、人口約10万人の町です。関西国際空港の対岸にあり、非常に利便性の高い地域です。海も山もある自然豊かな環境でありながら、大阪市内から電車で30分ほどの距離にあります。大阪市内へのアクセスが良いことで、通勤圏内の町としても認識されています。また、日本遺産もあり、歴史や文化が豊かな地域でもあるんです。

そして、泉佐野は日本のタオル産業の発祥の地でもあります。他の地域よりも早く、明治20年にタオル製造が始まりました。

昔は、泉佐野といえば「泉州タオルのまち」として知られていましたが、関西空港ができて「関空があるまち」として知られるようになり、最近では「ふるさと納税のまち」と言われるようになっています。

― 空港があるので、外国人観光客も多いのではないでしょうか。

はい、関西国際空港が泉佐野市の対岸にあるため、日本に入国する際の玄関口となっています。その影響で外国人観光客が増加し、宿泊施設数は大阪市に次ぐ規模になりました。

観光客の方々は、泉佐野市内のりんくうタウンでショッピングを楽しんだり、街中で飲食を楽しんだりされています。ただ、実際には多くの方が大阪市内や京都、神戸などに向かってしまい、泉佐野市内には短時間しか滞在されないんですね。

このように、通過するだけになっている方にも今後はもっと泉佐野市での滞在を楽しんでいただけるように、いろいろな取り組みを進めていきたいと考えています。その一環として、来年4月13日から始まる大阪・関西万博では、泉佐野市を第2のパビリオンと位置づけました。万博期間中にさまざまなイベントを行い、観光客の皆さんに泉佐野市で過ごしていただける機会を作る計画です。

― それは楽しみですね。では、ふるさと納税についてお伺いします。ふるさと納税の寄附金は、どのように活用されているのでしょうか。

ふるさと納税で皆様からいただいた寄附金は、寄附者の皆様にお選びいただいた使途の通りに活用させていただいています。特に、子育て支援や教育施設の整備に多くご寄附をいただき、それによって子育て環境が大きく整備されました。

ふるさと納税 泉佐野市1

たとえば、医療費助成です。東京などの自治体では、以前から18歳や20歳までの子どもが医療費助成の対象になっているところもありますよね。しかし泉佐野市では、以前は就学前の6歳までしか助成の対象になっていませんでした。大阪府では、未就学児を対象とした乳幼児医療費助成制度があるので6歳までは医療費助成を受けられたのですが、泉佐野市には財源がないためそれ以上はできていなかったんですね。

しかし、ふるさと納税の寄附を活用して段階的に拡充され、現在では18歳まで医療費助成を受けられるようになりました。最初は小学3年生まで、その後6年生まで、さらに中学3年生までと助成範囲を広げていきました。このように拡充できたのは、本当に寄附者の皆様のおかげで、非常にありがたく感じています。

― 教育分野では、どのような取り組みが行われているのでしょうか。

ふるさと納税 泉佐野市

市内の小中学校にプールを設置しました。実は泉佐野市の小中学校にはプールがなかったのですが、皆様の応援のおかげで各学校に設置することができました。これは単なるプールではなく、災害時に飲料水としても使えるよう浄化設備も備えているものです。

ふるさと納税 泉佐野市2

また、学校の体育館にエアコンを取り付けることができました。これは、生徒のためでもあり、災害時への備えでもあります。実は、2018年の台風21号の際、ライフラインが止まって多くの市民の方が体育館に避難されたんです。その時の体験から、停電時でも稼働できるような設備を備えたものにしました。

― ふるさと納税の活用例として、すばらしいものばかりですね。

ありがとうございます。実は泉佐野市では、関西国際空港の建設に伴い、インフラを整備する必要がありました。空港の対岸という立地にふさわしいまちづくりを進めるために多額の投資を行ったため、市民の皆様の生活を直接良くするような施策やサービスを整えるのが難しい状況が続いていたんですね。

お話しした医療費助成やプールについても長らく課題としていたのですが、ふるさと納税によって全国の方々から寄附をいただき、そのお力添えで、これらの遅れていた整備を進めることができました。

これまでは、住むという観点で課題があったかもしれませんが、住民の皆様へのサービスを充実させることにより、住みやすい地域になってきたのではないかなと思います。

― ありがとうございました。ここまでは、ふるさと納税の寄附金の活用などについての話を伺いました。

次の記事では、泉佐野市で実施している地域活性化の事業についてインタビューをします。

▶︎ 大阪府泉佐野市インタビュー:ふるさと納税で進める地域活性化と新たな挑戦 Vol.2