02.19
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ふるさと納税の確定申告|やり方と必要書類、忘れた場合の対処法
ふるさと納税の確定申告について、「面倒だ」「難しそう」「複雑そう」というイメージを持つ方は多いでしょう。「過去に申告した際に、手続きがよく分からず困った」という経験を持つ方もいるかもしれません。
しかし、事前に流れを正しく理解して必要書類を準備しておけば、確定申告は思ったよりスムーズに進めることができます。
この記事では、確定申告のために必要な事前準備と、具体的な申告の手順をわかりやすく解説します。初めての方も迷わず手続きできるようサポートしますので、ぜひ最後までご覧ください。
ふるさと納税の確定申告のやり方【準備編】
確定申告は、早めに取り掛かって準備をしておけば、スムーズに進みます。まずは、以下の内容を確認しておきましょう。
<ふるさと納税の確定申告の手順>
- 確定申告の流れを確認する
- 確定申告かワンストップ特例かを確認する
- 確定申告に必要な5点を準備する
- 確定申告書の提出方法を決める
1.確定申告の流れを確認する
最初に、確定申告全体の流れを把握しておきましょう。確定申告は、以下のようなスケジュールで行います。
期間 | 動き |
---|---|
ふるさと納税をした日 〜翌年2月15日 | ・確定申告に必要な書類を揃える ・確定申告書の提出方法を決める ・ID/PW方式で申告する場合は税務署に申請する |
2月16日〜3月15日 | ・確定申告書を提出する ・納税が必要な場合は納税する |
3月16日〜 | ・所得税還付金がある場合は入金を確認する ・住民税決定通知書を確認する |
確定申告を忘れた場合はどうする?
確定申告期間は、毎年2月16日〜3月15日(2025年は2月17日〜3月17日)です。ただし、期間が過ぎても、寄附金控除の申請は5年間可能です。詳細は管轄の税務署にお問い合わせください。 ※確定申告書に寄附金控除を書き忘れてしまった場合も同様に、5年間は手続きが可能です。
2.確定申告かワンストップ特例かを確認する
ふるさと納税の申請は、確定申告が基本ですが、以下の条件を満たす場合にはワンストップ特例を利用できます。
【ワンストップ特例の条件】
- 1年間に寄付をした先が5自治体以内であること
- その年に確定申告をしないこと
【確定申告が必要な人とは】
以下の条件に当てはまる場合は、確定申告が必要です。
- 1年間に6自治体以上に寄附をした
- 年収が2,000万円を超えている
- 副業の収入が20万円を超えている
- 公的年金収入が400万円を超える
- 個人事業主などで事業収入がある
- 医療費控除の申告をする
- 住宅ローン控除の申告をする(1年目)
確定申告をする場合は、ワンストップ特例制度は利用できません。既にワンストップ特例の申請をしていても、その申請は無効になりますので、確定申告時にその年のすべての寄附について入力しましょう。
ワンストップ特例については、以下のページで詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
3.確定申告に必要な5点を準備する
確定申告には、以下の書類が必要です。申告をするときになって慌てないように、事前に確認して揃えておきましょう。
- 寄附金受領証明書
- 所得が分かるもの(源泉徴収票や青色申告決算書など)
- 住宅ローン控除や医療費控除などで必要な書類
- マイナンバーカード(または、通知カード+本人確認書類)
- 還付金受取用の銀行口座情報
寄附金受領証明書
寄附金受領証明書は、各自治体から寄附後に送られてくる書類で、自治体名や寄附金額などが載っているものです。確定申告書に入力するすべての寄附金の分が必要なので、揃っているかどうかを確認しておきましょう。
紛失した場合は再発行してもらえますが、時間がかかる場合があります。確定申告の締め切り直前になって慌てることのないよう、早めに準備しておくことをおすすめします。
所得が分かるもの(源泉徴収票や青色申告決算書など)
確定申告では、所得の入力が必要です。会社から配布される源泉徴収票や青色申告決算書など、所得が分かるものを用意しておきましょう。給与以外の所得がある場合は、収入や支出などの情報を整理しておくと、スムーズに入力できます。
住宅ローン控除や医療費控除などで必要な書類
住宅ローン控除や医療費控除などの入力をする場合は、必要書類を揃えておきましょう。
住宅ローン控除は、最初の年のみ確定申告が必要です(2年目以降は年末調整)。
医療費控除は、事前に医療費集計フォームに入力しておくとスムーズに申告できます。医療費集計フォームとは、確定申告書等作成コーナーでダウンロードできるエクセルのフォームで、病院名や費用などを入力できるものです。確定申告時に、医療費控除の入力に時間がかかることも多いため、事前にフォームに入力しておくとスムーズに進みます。
マイナンバーカードまたは通知カード+本人確認書類
マイナンバーカードを持っている場合は、マイナンバーカードのみで申告できます。マイナンバーカードがない場合は、通知カードまたは住民票等と、運転免許証またはパスポート等を用意します。
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還付金受取用の銀行口座情報
確定申告の結果、還付金が発生する場合は、銀行に振り込まれます。銀行口座の入力欄があるので、事前に口座を決めておきましょう。
4.確定申告書の提出方法を決める
確定申告書の提出方法は複数ありますが、この記事を読んでいる皆さんは、以下のいずれかの方法で行うことが多いでしょう。
- マイナンバーカードとスマホでe-Tax(スマホ申告)
- IDとパスワードでe-Tax
- 印刷して持参または送付
ここから、それぞれのやり方を解説していきます。
マイナンバーカードとスマホでe-Tax(スマホ申告)
マイナンバーカードを持っていて、スマホで読み込みができる場合は、スマホ申告ができます。スマホ申告の画面は入力しやすいように工夫されていて、たとえば給与所得者の場合は、源泉徴収票の写真を撮影すれば必要項目が自動入力される仕組みになっています。
e-Taxは、印刷して申請するより還付金が早く戻ってくる点でもおすすめです。
IDとパスワードでe-Tax
スマホでマイナンバーカードの読み込みができない場合は、IDとパスワードでログインして申告する方法があります。
ただし、IDとパスワードは事前に税務署に申請して取得しておく必要があるので、IDとパスワード方式での申告を検討している方は、早めに申請して取得しておきましょう。
印刷して持参または送付
国税庁のWebサイト(確定申告書等作成コーナー)で入力し、それを印刷して提出する方法もあります。e-Taxが難しい場合には、この方法で申告する人が多いです。
印刷して郵送する場合は、返信用封筒に切手を貼って同封すれば、受領印を押した申告書のコピーを返送してもらえます。
ふるさと納税の確定申告のやり方【申告編】
ここからは、具体的な確定申告の手順を解説します。
スマホ申告(e-Tax)のやり方
マイナンバーカードを持っていて、スマホで読み込みができる方は、スマホ申告が利用できます。
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- SafariやGoogle Chromeなどのブラウザで確定申告書等作成コーナーを開き、「作成開始」ボタンをタップします。
- 作成する申告書の選択という画面で「所得税」を選択して次に進みます。
- 質問が続くので、「はい」「いいえ」で回答していきます。
- 申告方法を選択します。選択肢として、以下の3つが表示されています。
・マイナンバーカードをスマホで読み込んで申告する
・ID/PWを入力して申告する
・書面で申告する
この後、画面の流れに沿って進んでいきます。スマホ申告の場合は、源泉徴収票を写真に撮って読み込ませると必要情報が自動で入力されるので、とても楽に申告できます。
パソコンの申告のやり方
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- ブラウザで確定申告書等作成コーナーを開き、「作成開始」ボタンを押します。
- 申告方法を選択します。選択肢として、以下の3つが表示されています。
・スマートフォンを使用してe-Tax
・ICカードリーダ/ライタを使用してe-Tax
・ID・パスワード方式でe-Tax
・印刷して提出 - 作成する申告書の選択という画面で「所得税」を選択して次に進みます。
- 「次へ進む」ボタンを押し、画面の流れに沿って進んでいきます。
ふるさと納税の確定申告後の流れ
確定申告が終わった後は、所得税の還付や住民税の控除が適用されるまでの流れを確認しておきましょう。還付金の受け取り時期や住民税の反映タイミングを把握しておくと安心です。
期間 | 動き |
---|---|
申告の3週間〜1か月後 | 所得税の還付金が振り込まれる(e-Taxの場合) |
申告の1か月〜2か月後 | 所得税の還付金が振り込まれる(書面の場合) |
寄附の翌年5月〜6月 | 住民税決定通知書が届く ・会社員の場合:会社から届く ・会社員以外の場合:郵送で届く |
寄附の翌年6月から1年間 | 住民税が控除される |
所得税の還付とは
確定申告をすると、寄附金控除が適用され、所得税の一部が還付されます。還付金が振り込まれるまでの期間は、申告方法によって異なります。
- e-Taxで申告した場合:申告後およそ3週間から1か月後に還付されます
- 書面(郵送・持参)で申告した場合:申告後およそ1か月から2か月後に還付されます。
住民税の控除とは
ふるさと納税の寄附金控除は、所得税の還付に加えて、住民税の減額という形でも適用されます。住民税の控除は、確定申告をした年(寄附をした翌年)の6月以降に反映されます。
- 会社員(給与天引き:特別徴収)の場合:6月以降の給与から反映されます。
- 自分で納付(普通徴収)の場合:6月以降に届く納付書に反映されます。
5月〜6月に届く「住民税決定通知書」で、控除が適用されているかを確認しておきましょう。
ふるさと納税の確定申告でよくある質問とその回答
ふるさと納税で確定申告をする場合のよくある質問とその回答をまとめました。
Q:確定申告期間はいつからいつまでですか
確定申告は、毎年2月16日から3月15日です。(2025年は2月17日から3月17日)
郵送の場合は、3月15日消印有効です。
Q:会社員も確定申告が必要ですか
会社員の場合、基本的には確定申告は不要です。ただし、以下の条件に当てはまる場合は申告が必要になります。
- 1年間に6自治体以上に寄附をした
- 年収が2,000万円を超えている
- 副業の収入が20万円を超えている
- 医療費控除の申告をする
- 住宅ローン控除の申告をする(1年目)
Q. 確定申告で寄附金控除の入力を忘れました。
寄附金控除の入力を忘れた場合でも、5年間は還付申告が可能 です。
すでに確定申告を提出した後に控除の申請漏れに気づいた場合は、「更正の請求」という手続きを行うことで、還付を受けられる可能性があります。更正の請求をする場合は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」から更正の請求書を作成し、税務署へ提出します。詳しくは管轄の税務署にお問い合わせください。
Q. ワンストップ特例制度の申請をしたのに、確定申告をしたらどうなりますか。
確定申告をすると、ワンストップ特例制度の申請は無効になります。
すでにワンストップ特例制度の申請をしていた場合でも無効になるので、確定申告時にすべての寄附について確定申告書に入力する必要があります。
一部しか入力しなかった場合は、「更正の請求」の手続きをすることで還付される可能性がありますが、詳しくは管轄の税務署にお問い合わせください。
Q. ふるさと納税の寄附金受領証明書は再発行できますか。
寄附金受領証明書を紛失した場合は、寄附先の自治体に依頼すると再発行してもらえます。ただし、自治体によっては発行に時間がかかることがあるため、確定申告の直前に依頼すると間に合わない可能性があるので注意しましょう。
ふるさと納税のマイページからダウンロードできる場合もあります。
Q. ふるさと納税を家族名義のクレジットカードで支払いました。確定申告はできますか。
寄附金控除を受けられるのは、寄附をした本人のみです。クレジットカードは、名義人本人のみが使うというルールになっていますので、決済をする際は必ず寄附をする本人名義のものを使用しましょう。
誤って家族名義のカードで決済してしまった場合は、控除の対象にならない可能性があります。詳しくは、寄付先の自治体にお問い合わせください。
<クレジットカードの使用OK例>
- 夫が夫名義のクレジットカードでふるさと納税の決済をする
- 夫が夫名義の家族カード(主契約者は妻)でふるさと納税の決済をする
<クレジットカードの使用NG例>
- 夫が妻名義のクレジットカードでふるさと納税の決済をする
Q.妻のふるさと納税を代理で行おうと思ったら、誤って夫の名前で寄附してしまいました。確定申告はできますか。
寄附金控除を受けられるのは、寄附金受領証明書に記載された名義人のみというルールになっているため、妻の寄附として申告するつもりでも、夫の名前で申し込んでしまった場合は、夫が確定申告をする必要があります。
ただし、寄附者の名前を誤った場合には、状況によって修正に対応してもらえる場合があります。早めに寄附先の自治体に問い合わせて確認するとよいでしょう。
まとめ
この記事では、ふるさと納税の確定申告について紹介しました。
- ふるさと納税の確定申告のやり方【準備編】
- ふるさと納税の確定申告のやり方【申告編】
- ふるさと納税の確定申告でよくある質問とその回答
ふるさと納税の確定申告は、事前に準備をしっかりしておけば比較的スムーズに行えます。申告期間は2月16日〜3月15日なので、その前に必要な準備を済ませておきましょう。