08.17

届けたいのは“生を超える旨み”──泉佐野発・サーモン加工の現場から
ノルウェーから空輸されてくるサーモンを、すぐさま泉佐野市の加工場で処理・冷凍。
株式会社南予ビージョイが届ける返礼品のサーモンは、そのスピードと鮮度を活かした“冷凍とは思えないほど生のようにしっとりして美味しい”と評判の逸品です。
魚の加工と向き合ってきた販売責任者・中村さんが大切にしているのは、機械でも技術でもなく、“丁寧なひと手間”でした。
「届けるのは魚じゃなくて、おいしさだと思ってます」
そう語る中村さんに、サーモンにかける想いや加工現場の工夫を聞きました。

ノルウェーから届いたその日に、すぐ加工して冷凍
― サーモンの加工品づくりを始めたきっかけは?
「もともと弊社は、スーパーなどの事業者に向けて、水産品を卸売する事業を行っていました。そうしたなかで、“もっと個人の食卓に近い存在として、私たちの技術や味を届けたい”という思いが湧いてきたんです」
全国各地のさまざまな魚に触れてきたなかで、まず最初に考えたのがノルウェーから届くサーモン。
「脂ののりが良くて、身も締まっていて、臭みもまったくない。その品質の高さに自信がありました。冷凍されていても品質を保てるという点で、取り扱いに安心感もありました」
解凍すればそのままお刺身やカルパッチョ、ソテーやムニエルにも使える冷凍サーモン。業務用途だけでなく、家庭用としても使いやすいよう、個包装された商品に加工し販売をスタートしました。
― 返礼品のサーモン、いちばんの特長は何ですか?
「ノルウェーで養殖されたサーモンを、冷蔵状態のまま空輸で関西空港まで運んでいます。そこからすぐ泉佐野の加工場まで持ってきて、すぐに処理して冷凍するのがうちのスタイルです」
「スピード命ですね。少しでも早く処理することで、身の締まりや風味がまったく変わってくる。『冷凍なのにしっとりしてる』とか『クセがなくて食べやすい』って感想をいただくと、本当にうれしいですね」
“冷凍だけど生のような食感”
それを実現しているのは、スピードとひと手間の積み重ねへの細部へのこだわり。
「“見た目がきれいで、おいしそう”と感じてもらうには、ちょっとした手間がすごく大事。扱いが乱雑だと、ドリップが出てしまったり、色が悪くなったりするんですよね」
― サーモンの選定で重視しているポイントは?
「やっぱり脂の乗り方、繊維の細かさ、身の色、そういった要素を見て判断しています。同じ“冷凍サーモン”でも品質に差があるので、仕入れ段階からかなり細かく見ています」
「実際に扱ってみないと分からないことも多いので、現場の声を仕入れ担当にもフィードバックして、改善を重ねています」
関空からの距離が決め手。泉佐野に工場を構えた理由

普段サーモンなどを加工している現場
― 本社は愛媛とのこと。なぜ泉佐野に工場を?
「もともとは愛媛で養殖した鯛を、生きたまま泉佐野に運んできて締めるという流れがあったんです。高速道路も近くてアクセスが良く、関空からもすぐ。ここなら”将来、輸出にも対応しやすいだろう”という判断でした」
「あと、設備も土地も条件が合った。ご縁が重なった感じですね」
“何を使うか”より、“どう扱うか”

違いを生むのは、加工のスピードと精度
― 加工工程で、特にこだわっていることは?
「実は、冷凍の技術ってある程度どこも同じなんですよ。差が出るのは“どれだけ早く・丁寧にさばけるか”。魚の状態って、数時間で変わるんです」
「うちは届いたらすぐに、真空パックして、冷凍。このスピード感と処理の丁寧さで、味がまったく違ってくると思っています」
「商品には“解凍方法のご案内”もつけていて、氷水や冷蔵庫でゆっくり戻してもらうと、よりおいしく食べてもらえますよ」
― 現場ではどんな雰囲気で作業されていますか?
「新人からベテランまでが声を掛け合いながら、きめ細やかな作業を続けています。」
「また、衛生管理にも万全を期しており、作業者ごとの記録やチェック体制を徹底。定期的な勉強会やアップデートも行っています。」
「お客様に届ける商品は、自分たちの顔そのもの。だから、当たり前のことを丁寧に続けるのが一番大事だと思っています」
直接届く感想が、現場の力になる

食べやすく小分けにされているサーモン
― ふるさと納税での反響はどうですか?
「寄付者の方から『また頼みました』『冷凍なのに本当においしい』といった声をいただいて、ありがたいですね。以前は飲食店やスーパーさん向けの出荷がメインだったので、消費者の反応ってなかなか聞けなかったんです」
「中にはリピーターの方で、4〜5セットまとめて注文してくださる方もいて。“そんなに?”と最初は驚きました(笑)」
自分たちの仕事が、目の前の“おいしい”につながっている。
その実感が、ものづくりの原動力になります。
― 小分けで使いやすそうで良いですね。
「家庭での使いやすさを考え、小分けパックの商品が主流です。」
「1枚ずつ真空包装してあるから、必要なぶんだけ解凍して使えるんです。冷蔵庫で解凍してすぐ調理できるし、サラダとかにしてもいい」
同社では、過度な加工や味付けをせず、「素材そのままのおいしさを楽しめる」ことを大切にしています。
「おいしくて便利、でもシンプル。それが理想ですね。料理が得意な方はもちろん、忙しい方にも“使いやすい”と好評をいただいています」
注文のピークは年末。冷凍庫の拡張で対応

株式会社南予ビージョイの販売責任者の中村様
― やはり年末に注文が集中しますか?
「そうですね、11月・12月がピークです。最初の年は想定より多くて、冷凍庫がパンクしかけました(笑)」
― かなり出荷数も増えているんですね。
「はい。今では年間1万5千件ほど出荷していて、設備も少しずつ拡張してます。今年は2万件を目標にしています」
「泉佐野市さんとも連携しながら、“無理せず、でもしっかり届ける”体制を整えていきたいですね」
鯛と西京漬けも人気。“焼くだけで主役になる一品”を目指して

― サーモン以外にも商品があるんですね?
「はい。鯛は愛媛で養殖したものを泉佐野で加工していて、こちらも定番商品です。それと最近人気なのが、“サワラの西京漬け”ですね」
「今後は“漬け魚シリーズ”を増やして、もう少しラインナップを広げたいと考えています」
― 中村さんが考えている今後の展望をぜひお聞かせください
「今後の展望としては、会社の方向性と同じく他魚種の展開や、体験型のプロモーションとかできたら面白そうですね。」
「魚ごとに最適な処理が違うと思うので、そこを極めることを検討したいなと思っています」
「あとは、工場見学や直販スペースなど、消費者が実際の現場に触れられる機会も作れたらいいのかな。“どこでどう作られているか”が見えると、安心感が違うと思うんです。そういう信頼の積み重ねが、長く選ばれる理由になるんじゃないかと考えています」
編集後記
“どれだけ早く、ていねいに魚を扱えるか”
その問いに愚直に向き合う現場には、一手間にこだわり続ける“人の技”と“想い”が息づいていました。
空輸されたサーモンが、その日のうちに加工・冷凍されていく工程。
その背景には、“冷凍だからこそできる最高の味”を届けようとする、静かな情熱があります。
泉佐野の地で魚と向き合い、全国の食卓へ。
“冷凍”のイメージが変わる一品を、ぜひ一度ご自宅で味わってみてください。